製造業。はこんなお仕事。
さて、街の電気屋さんを退職しようと考えそれが決心にかわるまではそんなに時間はかかりませんでした。
この時は結婚していて子供も産まれたばかりだったのでそんなに簡単には退職出来ません。幸いにも営業職だったという事もあり、間をぬって職安を除いてみたりしてました。・・・ もちろん後ろめたい気持ちはありました。
しかし優先すべきはしっかりと現実をみる事です。
現状これでいいのか、これから先の事、家族を養っていくうえで今のままではいけない。少なくとも私はそう思い、行動に移しました。
んで製造業(印刷業でした)の求人を発見。
サックマシン? の求人でした。
サックマシン? って何??
しかし給料は良い。
少なくとも今まで働ていたところよりもいい。
残業代も100%つく。月間の残業時間は平均30時間だそうな。
しっかりとした収入が欲しいと思っていた時だったので話だけでも聞いてみるか。
と思い立ちました。
今までの勤務先はタイムカードがなかったり営業成績によっては給料減らされてました・・・
それから職安の方にお話。
早速面接のアポをとってもらいいざ面接。
その日は何人か面接の方がおられたみたいで会社に入る時に面接にきたであろう方とすれ違いました。
面接・・・ だけどお話もそこそこに、当時の品質管理部長であった方に、
「君はサックマシンよりも製版の方がいいかな」
との事。
製版も何が何やらわからなかったですが工場内を歩き、製版室に通されました。
歩いている途中もでしたが、見た事もない大きな機械がずらずら。
通してもらった製版室に着いて、
「ここ。設備は大体2000万位かな? もう1人女性がいるけどゆくゆくは1人でやってもらいたい。」
って。
見渡すと、当然ですが見た事ない機械。パソコンは4台? これを1人で??
職務経歴書にはワード、エクセルは使える、ってかいたけど金額聞いたらちょっと怖気づきました。・・・ 壊したりしたら、ヤベーよね 汗
それより「やってもらいたい?」ん? 脈ありかな。
嬉しい気持ちも沸いてきました。
面接室に戻って、又少しお話を。
現在も在職中という事で、部長さんから、
「たぶん君になると思うから。社長に連絡して、OKだったら又連絡してあげる。それから今の会社に退職の意向を伝えてもらってうちに来てもらいたい。だけどそんなに長くは待てんよ。」
との事。
おぉ、やった。内定もらった。ほぼ。たぶん、確実に。
2,3日後に内定の連絡を頂きました。
それから今勤めている社長にお話をしました。
中々自分からは言い出せなかったですが、社長は何となく察しておられたようで、承知して頂きました。
製版とは。
本題です。
まずは製版に配属。
後述しますが後にサックマシン部に異動になります。
製版・・・ 聞いた事も見た事もない言葉。
初日、女性が1人で作業しておられました。
その女性から色々教えてもらう事に。
ところで、製版、とは?
印刷する時に刷版(さっぱん)と呼ばれる1030*790cm(大きさは何種類かあります)のアルミが主成分の薄っぺらい板に、印刷する画像、詳しくはインキがのる箇所を専用の機械を使って生成する部署です。
それだけなら何て事ないんです。
問題は印刷機でイメージ通りの色が出るか。
主に印刷とはCyan(藍)、Magenta(紅)、Yellow(黄)、Black(墨)の4色でカラー印刷を表現出来ます。これらは小さい点の集合体で構成されていて、例えば紫。ここで言うとCyanとMagentaの掛け合わせです。
その2つを掛け合わせると、紫、と思われる方もおられると思いますが、答えはBlueviolet(青紫)です。このBlueviolet、Cyanが強いとCyanが強く出てしまいます。Magentagaが弱くてもCyanが強めのBluevioletが出来てしまいます。
顧客の要望通りの色を出せるような小さい点(一般的に網といいます)の大きさを変えてやる。これが一番大事な事であり仕上がりに大きな影響を与える部分でしょう。
作業としては全てパソコンで。
イラストレーターを使って直接網点の大きさを変える事もありますが、カーブといわれる、相対的なカーブを描いている、例えば50%の網が40%に、30%辺りの網点は25%に小さくなる、というようなソフトを使う事もあります。
そして出来上がった網点のデータは、プルーフと呼ばれる専用のインクジェットプリンターで仕上がりを確認出来ます。
これは印刷機で刷ったものとほぼ同じ仕上がりに設定してあるので確認出来るという仕組みになってます。
入ったばかりの頃は訳が分からない事だらけだったのですが、印刷の人に聞いたり勉強したり、自分なりに頑張ってはいました。
ここにかいてある事は製版における一部です。
もっとかけば、印刷の事も勉強しましたし、次の抜き(トムソン)の工程、その次の貼り(サックマシン)の事も勉強しました。
もちろん印刷する減反(紙とかクリア、PET等の印刷物の種類)も。紙の種類や厚さによって印刷での仕上がりに影響が出ます。
その都度通常より網点を小さくしたり、イラストレーターで文字を細くしたり。
色々考えさせられました。
そういう点でいうと製版は各部署にある程度精通してないといけなく、やりがいのあるお仕事です。周りの人達に恵まれてたってのもありますが 笑
お蔭様で色々な知識が得られました。
それから6年位経った時。
異動のお話が・・・
これのいきさつは会社でも一部の人しか知らないけど・・・
サックの若い子が、
「製版やりたい。サックやめたい」
って。
その子はサックが出来ない訳じゃない。
ただ難しい。
悩ませる事もしばしばあったみたい。一時は会社をやめる気で他の会社の製版の求人に面接に行ってた事も。
んで私にもお話が。
はしょるけど社長の息子さんとも一緒にお話して、異動決定。
なのでサックの機長さんも
「何で?」
って。工場長も
「何で??」
って。
あんまりうちの会社で異動ってないからな。
不思議がるよね。
私も興味があったから承諾したけど。
サックマシンとは。
若い子を悩ましたサックマシン。
もちろん右も左も分からないので教えてもらいました。
ここで少し説明を。
印刷→抜き→貼り(サックマシン)
貼りの工程にあたります。
抜きの工程で箱になる前の形。
・・・ テキストだけだとわかり辛いですね 汗
例えば・・・ ○まねっこクッキーの箱。
あんな感じの箱を機械を使って組み立てていく部署です。
(その内にイラスト追加しようかな・・・)
サックマシンとは、長い機械になっており、箱の形状によってセットをかえながら糊付け、折加工をして箱がたたんである状態にしていきます。
箱・・・ といってもその形状は様々です。
特に最近ではより複雑化しているように感じます。
少し紹介。イラストないので後でググって下さいね 汗
① ワンタッチ
その名の通り箱を起こすだけ。蓋を閉めればハイ完成デス。
② キャラメル
その名の通りキャラメル箱です。
起こして箱にして、上蓋と下蓋を閉めれば箱の完成。
森永さんのキャラメルが入ってる箱がそうです。
③ 化粧箱
底の部分と蓋の部分が分かれてるタイプですね。
お饅頭が入ってるイメージ。
他にもブックタイプと呼ばれるものや、ヘッダー付きの物とか、箱は箱でも変な形の箱とか 笑
サックマシン、これが難しい・・・
私を悩ませる・・・
まず、一番難しいのが給紙。
機械に紙をセットするんですけど、真っ直ぐに送り出すのが難しい。
上司も言っておられた。
給紙と着地が一番難しい。と。
間は真っ直ぐ流れれば何とかなる。と思う。
このサックマシン、減反の種類や大きさ、形にもよって全然やりやすさが違う。
物によっては真っ直ぐ流れんでただただゴミが増えていく事も・・・
んで数が足りんで心にダメージを受ける・・・
きっと若い子もこんな気持ちだったんだろう・・・
難しいヨー
病んでしまうヨー
だがまぁやってみるか。
でもセット時間とかも言われるしなー
休憩時間削ってやるしかないよなー
私頑張ってるなー
そんな自分が嫌いじゃない 笑
私が付いてたのは大型サックマシン。
他に中型、クリア機、3台あります。
メーカーによっても機械の作りは違うけど仕組みは大体同じです。
去年、展示会に行かせてもらって色々なメーカーさんの機械を見せてもらってました。
この大型、箱にする前の全長で、長い物で950mmまで流せる。
重たいし難しい。
3台の中では一番古く、もう20年以上も使用しているとの事。
中型は3年位。クリア機は8、9年位かな。
ダントツで古い 笑
だけど作りが元々アナログなので20年選手だろうが3年選手だろうがあまり変わらない。もっと簡単に真っ直ぐ流れて箱にしてくれる進化が欲しい 笑
だがそんな事いってもはじまらん。
ただただ自分の腕を磨くのみ。
紙の癖やこの形はこのパターン、このジグを付ける、速度は遅めに。などなど。
経験に勝るものはない、と信じてなるべく自分で機械に触るようにしています。
どうしても分からない事は上司に相談してみたり。
その他
色々かきましたが私が勤めている製造業、絶対的に100%のものが作れる保障はありません。1枚検品でもすれば不備のない、完璧なものが作れるかもしれませんが現実的ではない。1日何万という製品が出荷されていく中そんな事は出来ません。
だから、というか宿命というか、印刷段階における色ムラが出たり、貼り加工時での変な箇所での折れや破れ、糊のはみ出し等、注意はしていますが出てしまう事もあります。
そういった物がクレームとして返ってきた場合、全数検品になる事も。
又、飛び込みで注文がきたりなどで残業が続く事もあります。
暇な時期、繁忙期等波もありますが、月によっては30時間をはるかに越える残業時間となる事もあります。
そんな事もあってか辞めてしまう方達もいます。
残業ありきの給料、ってなところもありますし。
製造業の全てに当てはまるとは思いませんが私が勤めているところはそんなところ。
不満ももちろんあります。
周りの人がいい方達ばかりで続いている、っていうのもあります。
働いた分は確実に給料がもらえるってのも有難いお話です。
今まで勤めていたところと比べてですけど・・・
製造業、あまり変化もなく、毎日がほぼ同じ作業で過ぎていきます。
その分自分の時間を大切にしたい、と思ったりもします。
私の場合、釣りとかですね 笑
製造業とはこのような感じとなってます。